2016/08/11
手仕事も、感覚も失う前にできること
子どもの日常生活スキルが低下しているとのニュースを読みました。
記事はこちら。
記事にはこんなことが書いてありました。
家庭や学校現場で手足を使った遊びを行う機会を意識的に設ける必要がある。しかし今回の調査では、「子供が取り組まない」「教え方が分からない」などの理由から、62・2%の保護者が「意識して遊びを行っていない」と回答。教員側も26・3%が「あまり行っていない」。「具体的な指導の仕方が分からない」との理由が目立った。
例えば「結ぶ」という行為。
靴の紐を結んだり、風呂敷を結んだり、
髪ゴムを結んだり。
私の子どもの頃は普通に必要なスキルだった。
スリッポンの靴。
お弁当箱は巾着袋か、プラスチックバッグ。
髪ゴムだって、輪っかになってるのが普通になった。
いまは、結べなくても困らないのだから、身につくはずがない。
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古民家に住み始めた時、一番最初に必要だと思ったのが「はたき」だった。
今まで住んでいたマンションの部屋には長押(なげし)はない。埃がたまる場所がないのだから、はたきをかける必要はないのだ。
LIXILのページより
でも、古民家に住むと1日目から困ってしまう。掃除するにははたきが欲しくなる。
そして、はたきをかけだすと、頭を何かで覆いたくなる。あねさんかぶり、したくなる。
そうやって、なんともこの家にぴったりなスタイルにスルスルっと変身してしまう。
そして、モップじゃなくて、バケツに雑巾、となる。それが一番やりやすいから。
あねさんかぶりするには「結ぶ」ことが必要だし、雑巾がけは絞る。こうして
簡単に手仕事をする機会を手に入れることになる。
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記事の中に、
「教え方がわからない」
「具体的な指導の仕方がわからない」
とありましたが、
古民家に来て、お掃除を一緒にしてみたらいいよ。
逆をいえば、今の日常生活には、こんな基本的な作業すら必要なくなってしまっているのです。だから、できるわけない。だって大人だってやってないんですから。
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田舎に住んでる、とか、古民家に暮らしてる、というと、
「子どもに体験させたい」とか、
「子どもには自然に親しませたい」
とかよく聞きます。
私はいつも、「子どもに、という前に、あなたがやると良いよ」と思っています。親が興味持たないこと、子どもにやらせてもそれはただの教養であり知識なだけで、知恵として身につきはしないんです。
それに、今の家とちがって、古民家は、
(というか、我が家はサッシを入れず、雨戸と障子という昔ながらのスタイルにこだわったので)風が強い日は埃っぽくなるし、雨が降る日はジメジメするし、
晴れた日はしまってある座布団干したくなるし、
雨の日は庭の水たまりの場所を確認して、水はけをチェックしたくなる。
そういう、何かを感じて、
何かをする、という当たり前のことが
できなくなっているんじゃないでしょうか?
ルンバは毎日決まって掃除してくれるかもしれないけど、
今日の天気や風を感知して、判断して掃除してくれるわけではない。
街の暮らし、あるいは表面的に便利な(呼吸をしていない)家に住むことは、こうした人の感覚をどんどん鈍らせていくのです。
そして、人の手仕事もどんどん衰えていくのです。
私も、いま気がついて良かった。
少しでも、「おばあちゃんの知恵」に近づきたい。生きていく力って、そういうことだと思います。